最近はギリシャや中国が市場を騒がせてるんですが、ただ、アベノミクス相場が始まって既に2年半以上経つというのに、ドル円の10円以上の下落は未だに一度もありません。

いくら日本の金融政策が異次元緩和の真っ只中とはいえ、安値から50円近くも上昇したんだし、本格的な調整もなく為替相場が平穏を保ってるのは、逆に異常です。

でも、円安が続いてるとは言っても、ドル円以外のクロス円はそれなりに下げてるし、特にユーロ円は高値から23円下落する局面もあったので、決して円全面安というわけではありません。

ただ、ユーロ円が下げたのは、マーケットの過熱感に対する調整ではなくて、『ユーロ圏の金融政策』によるものだから、通貨の独自要因によって下げただけなんです。

だから、為替相場には本来付きものである、『ファンダメンタルズを無視したポジションの巻き戻し』は一度も起こってないんですよね。

おそらくキャリートレード全盛期の頃とは違って、今はスワップが殆ど貰えないので、この円安相場は個人投資家ではなくてプロが主導してる事が影響してるんだろうけど、背筋が凍るような大暴落を定期的に目にしてきた私にとっては、違和感を覚えずにはいられません。


そして、円相場だけではなくて、日経平均も相当強いです。

2000円程度下げる局面はあったし、ドル円に比べると調整幅は大きかったとはいえ、ずっと上昇トレンドを維持してますから。

だから、2013年~2014年前半にかけて何度か書いてた、『金融緩和では絶対に良くならない。いずれ円安株高の相関にパラダイムシフトが起こって日本売りになり、円安株安になる』という私の予想は完全に外れました。

『金融緩和→インフレ→スタグフレーション』と考えてたんですが、思ってたほどインフレにならないので、シナリオが根底から崩れましたからね。


そして今後についてですが、3000円程度の調整ならいつでも起こり得るけど、スタグフレーションにならないのであれば下落トレンドへの転換は考えにくいので、日経平均は当分底堅いと私は考えてます。

米国は失業率はガンガン下がってるのに、相変わらずインフレは大したことないから日本と同じ症状を発しつつあるので、米国が利上げを断念してまた緩和に舵を切れば、『米・欧・英・日・中』が揃い踏みのグローバル緩和相場はまだ続くわけだし、金融政策が緩和である限り大暴落は起こらないですから。


だから、この上昇トレンドが終焉を迎えるのは、『米・欧・英・日・中の金融政策の方向性が一斉に引き締めに転換した時、あるいは、引き締めへの転換を市場が織り込み始める時』だと思うんですが、そのトリガーとなるのは、『ユーロ圏の利上げではないか』と私は考えてます。

第二次大戦以降で、人類が経験した最も大きな暴落というと、ブラックマンデーとリーマンショックなんですが、実は共に、ユーロ圏の利上げがキッカケなんですよね。

ブラックマンデーは西ドイツ、リーマンショックはECBが先陣を切って利上げした事によって、『他も追随するのではないか』と疑心暗鬼に陥った市場がリスクオフに動いた結果ですから。


特にリーマンショックに関しては、私も実際に経験してるからよく覚えてるんですが、2007年8月のサブプライムショック以降、米英は利下げサイクルに入ったし、日本と欧州も利下げこそしなかったものの様子を見てたので、当時の主要国の金融政策は緩和だったんです。

ところが2008年7月に、『いち抜けた!』とECBが利上げに踏み切ったんですが、その2ヶ月後にリーマンショックが起こりましたからね。

当時はCPIが高止まりしてたので(米国+5.6%、ユーロ圏+4.1%、英国+4.4%、日本ですら+2.4%)、主要国が一斉に引き締めに転換しそうな雰囲気があったし、市場は相当警戒心してましたから。

そして、そんな風に警戒感が高まってる時に、ちょうどリーマンブラザーズが破綻したので、破壊的な大暴落に繋がったんです。

だから両方とも、西ドイツあるいはユーロ圏が焦って利上げした事がキッカケだし、それに、ECBは構造的に金融政策がタカ派になり易いので、『ECBの利上げで時限爆弾のスイッチオン』という展開もあり得るのではないでしょうか。


ただ、利上げの先陣を切るのが実際にユーロ圏だったとしても、このグローバル緩和相場の出口戦略を論じるのは時期尚早だし、大暴落はまだまだ先だと思います。

世界恐慌時のデフレを克服して以降、人類にとって、『インフレを適度に抑えること』はずっと大きな課題だったし、インフレは当たり前だったけど、情報革命が既存のビジネスモデルを破壊するから今はインフレに難くなってるので、これからはデフレの方が脅威になるはずですから。

だから過去のパターンだと、『緩和→資産価格上昇&インフレ→利上げ→暴落』だったのが、『緩和→資産価格は上昇するがインフレはなし→インフレにならないから利上げ出来ない→暴落のキッカケがない』という展開になりそうな気がするんです。


大胆なQEをやったバーナンキや黒田総裁を称賛するアナリストって多いんですが、でも、QEというのは構造改革とセットでやって初めて真の効果を発揮できるんです。

だから、橋下さんみたいな身を切る改革をやれる人が総理だったら効果的だけど、構造改革が出来ないならやるべきではないし、長い目で見れば、問題をさらに悪化させるだけだと私は考えてます。

『永遠に暴落がない』なんて事は絶対に有り得ないし、実態を伴わない上昇をずっと続けてるから、次にやって来る大暴落は凄まじいものになるでしょう。

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おー確かに!

米ドルの高騰はめちゃめちゃ一直線でおっかないですね。
例え調整でも、月足レベルでの調整になると、チャート的には普通の動きだとしても、現実としてはかなりの暴落だし、ロング怖いなぁ、とか思いながらチキントレードしてます。
かといって、今の段階で逆張りも恐ろしい。。

リーマンショック絡みの考察がかなり示唆的でした。
ファンダメンタルは、こういうふうに応用して使うのか!ってハッとしました。
しがないさんの考え方は、ファンダメンタルの分析力はもちろんの事、市場の不穏な空気を感じて予感する力が鍛えられますね。
多分しがないさんが強調してるのは、この力を鍛えて最終判断できるようになってね、って事なのかな、と解釈してます。

スイスフランの高騰前も、ここの考察を読んでなかったら、私は退場してたと思います。
1.2ユーロ戦法だぜ!とか調子に乗ってた時があったのでw

Re: おー確かに!

ドル円はホント強いですよね。
これだけ上昇したにも拘わらず、10円以上の調整が未だに1度もないなんて、ちょっと信じられません。
暴落に巻き込まれそうな気がして怖くなりますよね。

ありがとうございます。
予想の当たり外れはともかく(笑)、こんな風に考え続ける事が大事だと私は思います。
ずっと考え続けてれば間違いなく精度が上がってくるし、それに、ある程度はリスクを事前に察知できるようになりますから。

それにしても、さすがはモル作さんですね。
解釈がズバリ的中してます(笑)

私のブログのお陰で退場を免れたと言って頂けると最高に嬉しいですし、FXブロガー冥利に尽きますね。
モル作さんのこのコメントを肴に、上手い酒が飲めそうです(笑)

No title

しがないトレーダーさんのブログを拝見し、自分もやってみようかと思い始めてます。
会社員から足を洗い、自活するのが目標です。会社で働くのはしんどいです。

Re: No title

お気持ちは凄くよく分かります。
ただ、FXで生活費を稼ぎ続けるのはとてつもなく難しいですし、一時の感情に身を任せて安易に判断すると、一生後悔する可能性もあるので、ご注意ください。

来ましたね

ガツンと落ちましたね。
この記事覚えてて助かった人も結構いると思いました。

落ち葉拾いだけして、静観モードです。

Re: 来ましたね

凄かったですよね。
24日の夜に、ドル円は2分で2円80銭ぐらい下げましたし、あれはなかなか強烈でした。

ただ、私がこの記事で書いた大暴落は、外為ではなくて株式市場についてだったんです。
なので、今回の暴落の原因は、中国ではなくて米国の利上げ懸念だと私は考えてるので、『米国は結局利上げ出来ない』と市場が認識すれば落ち着くような気がします。

この記事は構成がちょっと分かりにくかったですね。
自分で読み返しても、分かりにくいと感じますし(笑)
でも、モル作さんが仰るように、FXトレーダーの方々に注意を喚起する事になったのであれば幸いです。

なるほどーw

完全に為替オンリーの観点で読んでましたw
でもこの記事のお陰で、ちょっと良いトレードができました。大感謝です。

多分ここ読んで助かった人や儲けた人も結構いそうだなぁ、と思います。

Re: なるほどーw

分かりにくくてすいません。
為替のブログにもかかわらず、実は株式市場がテーマの記事だったなんて、分かりにく過ぎますよね(笑)

FXブロガー冥利に尽きる言葉をかけて下さってありがとうございます。

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